稲刈りの風景に重ねる六波羅蜜の心
日常
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秋の実りから学ぶ、感謝と努力の大切さ
会津では、10月に入りあちらこちらで稲刈りの光景が広がるようになりました。
黄金色に実った稲が次々と刈り取られていく様子を見ていると、「一年間の努力がようやく実を結んだんだな」と自然に心が温かくなります。
農家の方々が春から大切に育ててきた稲が、この時期に豊かな恵みとなって私たちの食卓に届くことを思うと、自然や人の手の働きに感謝の気持ちがわいてきますね。
こうした稲作の営みを眺めていると、仏教の「六波羅蜜(読み:ろくはらみつ)」という教えがふと心に浮かびます。
六波羅蜜とは、幸せに生きるために大切にしたい六つの心がけ――
・布施(ふせ):分かち合い
・持戒(じかい):正しい行い
・忍辱(にんにく):耐えること
・精進(しょうじん):努力を続けること
・禅定(ぜんじょう):心を落ち着けること
・智慧(ちえ):物事を見極めること
のことです。
稲作の過程には、この六つの心が自然に息づいているように思います。
苗を植えるところから収穫まで、ひとつひとつの手間を惜しまず精進する姿、天候の厳しさに耐え忍ぶ姿、そして収穫の喜びを家族や地域で分かち合う心――
それはまさに六波羅蜜の実践そのものではないでしょうか。
実りの秋に、こうした六つの心を暮らしの中にそっと重ねてみると、日々の時間が少しだけ豊かに感じられるかもしれません。
岩澤

